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エイジング塗装
エイジング塗装は複数の色を重ねて、古びた風合いや立体感のある色を出す塗装方法です。
通常はスプレーガンで塗料を吹き付けて色を塗りますが、エイジング塗装の場合は布に塗料を取り、薄い色から濃い色へ、ポンポンと叩いて色を重ねます。
一気に色を仕上げようとすると、ムラがなくなって立体感が薄れたり、布の跡が残ってしまいます。
色を何度も重ね、焦らず何度も何度も叩いて着色していきます。
エイジング塗装の場合、塗るというよりも「塗料を置いてボカす」を何度も繰りかえすという表現の方がしっくりきます。
エイジング塗装で錆の浮いた雰囲気を出す際には、実際に錆が出やすい箇所には赤錆の赤褐色を多めにしたりと、場所によって色を変えたり濃淡に変化をつけることでよりリアルな表現ができます。
このように色や風合いを自由に変えられることができるのが、エイジング塗装の魅力です。
本物の錆の場合、周辺を汚してしまうこともありますので、用途や設置場所によってはエイジング風塗装を提案させて頂いています。
最初から古びた風合いが欲しいけれど、すぐにボロボロになってしまうのはちょっと・・という場合にはおすすめです。
焦茶ベースのエイジング塗装
赤錆風エイジング塗装
凸凹のテクスチャーと焦茶ベースのエイジング塗装
ステンレスの黒染めという技法
ステンレスは名前の通り錆に強い素材です。
そのため水回りのシンクや、調理用具に用いられますが屋外用看板にもぴったりの素材です。
アイアンの赤錆が出て経年変化していく様は趣があって素敵なのですが、
雨晒しになる場所に設置する場合や、周りをサビで汚したくない場合はこの素材をお勧めしています。
ただステンレスの場合は見た目が綺麗すぎて風合いが良くありません。
表面を塗装すれば見た目の問題はクリアしますが、素材感をもっと引き出すために素材の表面を薬品で化学反応させ、黒く着色する「黒染め」を施しています。
黒染めは塗装よりも塗膜が薄く素材感があるのでアイアンのような素朴さがあります。
少し専門的な話になりますがステンレスの表面には不動態皮膜と呼ばれる膜があります。これはステンレスの成分である「クロム」が大気中の酸素に酸化されることにより生成されます。素材自体の成分からできているので剥げてもまた再生されるという特徴があります。
この膜により表面が保護されることでサビから身を守っているのです。
ただこの強い膜があることにより薬品も弾いてしまうので、普通に黒染め用の薬品をつけても黒くなりません。
その為表面処理により膜を剥がしたり、温度を変えることで反応を良くしたりと色々と工夫をしないといけません。
この膜を一旦除去するという工程がとても大変で、たくさん試行錯誤して方法を探りました。
※まだまだ色々な方法を試していますが、少しづつ安定した色を出す事ができるようになってきました。
塗装は均一的な美しさがあり、黒染めには素材が持つ魅力を引き出す良さがあります。
どちらが優れているというわけではないので、ステンレスの素材感と、素材の持つ「錆びない」という利点を活かした製品づくりをしていきたいと思います。
鉄の塗料について
サニーサイドスタジオでは鉄を用いた製品に関しては、クリア塗装か色塗装をしています。
これは錆が出てくる速度を抑え、少しづつ経年変化をしながら長く使って頂くためです。
特に雨晒しになる場所に設置する看板や錆が気になる場合は、黒色などの塗料で鉄の素地が出ないように塗装をします。
クリア塗装は色塗装に比べると、防錆性のは劣りますが、鉄の素材感や経年変化をより楽しむことができるので、鉄の素朴な雰囲気や、ラフなテイストが好みの方にはおすすめです。
看板の塗装に使う塗料ですが、車の塗装に使う塗料と同じ2液型ウレタン塗装という塗料を使っています。
これは通常のペンキとは異なり、硬化剤を混ぜて使う塗料です。
硬化剤が塗料自体を効果させ、丈夫で耐候性に優れた塗膜になり看板を保護します。
看板は車のような厳しい条件下で使用するものではありませんが、少しでも良いものをと考えこの塗料を選んでいます。
ただ丈夫な塗料でも、鉄同士が擦れる部分はどうしても塗料が剥げます。
その部分から錆が出ることもあるので、その点はご注意下さい。
塗装が剥げ、少しづつ錆が出てくる様も雰囲気があって素敵なので、是非楽しんで欲しいと思います。
絶対に錆びさせたくない!という場合は、ステンレスで製作することも可能です。
またお好みの色味での塗装も可能です。
お気軽にご相談ください。
クリア塗装(2液型ウレタンクリア塗装)
黒色塗装(2液型ウレタン塗装)
お好みの色で調色
真鍮のエッチング看板
エッチングとは薬品で金属を溶かし文字や図柄を印字加工する技術です。
金属をシートや塗料でマスキングし、印字したい部分はマスキングを剥がして金属を露出させます。
その状態で金属を薬品の中に入れると、マスキングされていない部分だけが溶けて印字されます。
とても細かい表現が可能なので、手描きの線をそのまま金属に印字することもできます。
薬品の中に入れた金属は、液温にもよりますが1時間から2時間かけてゆっくり溶けていきます。
長く浸ければその分深く印字されるので、溶け具合を細かくチェックして良いタイミングで引き上げます。
また液温によっても溶けるスピードが変わります。
適温である40°前後の温度を湯煎でキープしつつ溶け具合を確認するので、つきっきりの作業になります。
最後にマスキングを剥がす時に、綺麗にエッチングされているかどうかが判明するので、最後の最後まで気が抜けません。
マスキングが甘ければ印字の線が乱れてしまいます。
また溶け具合を見誤ると、印字が薄く立体感のないものになりますし、逆に深すぎても細かい表現が出来ません。
印字が完了した後は、凹んだ部分を燻し液で黒くします。
そうすることでより立体感が出たり、印字部分を引き立たせることができます。
最後に表面をヤスリがけしてマットな質感を出したり、アンティークのような古色仕上げを施して完成。
真鍮は経年と共に色が濃くなり、味わい深い変化を見せてくれる金属です。
鉄の錆のように変化を楽しむこともできますが、クリア塗装をすることで初めの金色の輝きを維持することもできます。
エッチングはとても手間はかかりますが、趣のある仕上がりになるので、高級感や重厚な雰囲気を出したい場合にはぜひお勧めしています。
木の種類と保護材について
木製看板はカフェや美容室、雑貨店など柔らかい印象を大切にしたい方にはおすすめです。
サニーサイドスタジオでは様々な種類の木材をご用意しています。
ホワイトオーク
力強い木目が特徴的な、広葉樹です。
重くて頑丈なので耐久性があります。どんなインテリアにも合う優等生な木材です。
ウォルナット
落ち着いた色味で高級感あふれる木材です。
濃い色の肌をしているので、白色や明るい色で印字するとよく映えます。
ヒノキ
白っぽく柔らかい雰囲気があり、手書きのイラストなどにとてもよく合います。
和風の書体を入れると、高級な和の雰囲気を出す事ができます。
シナ
白い肌と、木目が少ない事が特徴です。
印字内容がよく映えるので、細かい文字や図柄を印字する場合に特におすすめです。
ロゴマークのデザインや、お店の雰囲気に合わせてお選びください。
ただ木材は水気や湿気が大敵で、濡れたままの状態で放置していると腐ってしまったり、変色が起きます。
そういった劣化を防ぐために、木部には特殊な屋外用の透明な塗料を塗っています。
使用保護材 ウッドスキンコート
https://ohhashi.net/shop/wp2/wsc_body2.html
まず下塗り剤として微生物に対する防腐・防カビ機能と耐光性のある塗料をしっかり染み込ませます。
木の木口(断面)はよく吸い込むので2回、3回と塗り込みます。
下塗り剤が乾いたあと、紫外線を遮断し表面を保護する上塗り剤を塗ります。
乾燥後に研磨をしてからもう一度上塗り剤を塗り重ねて完成です。
こうして塗り重ねた塗膜は耐摩耗性に優れており、長期間にわたり美観を保持してくれます。
また塗膜は優れた柔軟性を持っているので、木が反っても割れたり剥がれたりしにくくなっています。
他には防腐剤って臭いがしませんか?という内容の質問を頂きますが、使用している塗料は水性塗料なので臭いがしません。
ですので屋外はもちろん、屋内で仕様する場合にも安心して使って頂けます。
(シックハウス対策塗料です。)
特に指定が無い限り、木の質感を活かしたマット仕上げで製作します。
もちろんこの塗料を塗っていれば全く劣化しませんという訳ではありませんが、
少しでも長く使って頂けるよう、試行錯誤しています。