工房ブログ

2019/08/27 14:02

雨が降ったので錆について書いてみた。その魅力と付き合い方。

アイアン製品を作っていると良く聞かれるのが、「錆ますか?」という事。

鉄だから錆びるのは当たり前だけど、製品としてちゃんと使えるの?という疑問があるようです。

僕はこういう時には

「鉄製ですので使っているうちに錆は発生します。その発生をゆっくりにする為にコーティングをしていますが、錆の発生はゼロではありません。錆が少しづつ出てきて、風合いが増していくのも楽しんで頂ければと思います。」

とお答えしています。


以前も書きましたが、僕は鉄に錆が発生して、どんどん変化していくところも鉄製品の魅力だと思っています。
ただ何もしないで放っておくと、あっという間に真っ赤な錆に覆われてしまいます。
それでは実用品としては使い難くなります。

その為、サニーサイドスタジオではウレタン塗料という丈夫な塗装で表面保護しています。
透明なウレタン塗装は、鉄の風合いを損なうことなく表面を保護してくれます。
軒先で使うような置き型の看板や、室内で使う物であればこちらで十分だと思います。

屋外で常に雨ざらしになる場合や、出来るだけ錆させたくない場合には艶消しの黒色で塗装する方法もあります。
この場合、錆止め塗装と黒色のウレタン塗装で表面を二重に保護するので、
錆から本体を守る力はより強くなります。

このように使用用途や、要望を聞いてご提案させて頂くので、心配な点があればお気軽にご相談下さい。

※ちなみに塗装は吹き付けで行い、鉄の表面の風合いを出来るだけ無くさない滑らかな仕上げにしています。


個人的には鉄が錆びていく様子というのは、革製品が手に馴染むような、デニムの藍色が少しづつ褪せていくような。そんな魅力があると思っています。丈夫な素材なので長く使うことができ、風合いの変化を楽しんで頂きたいと思っています。


因みに鉄は自然界では「鉄鉱石」の状態で存在しています。それを高い熱でドロドロに溶かし、精製して鉄だけを取り出しています。

鉄は製品になってからも酸素と結びつき錆が発生します。空気中には酸素が漂っているので、放っておいても鉄と反応しますし、水がかかればなおさらです。
その酸素や水から鉄を遮断する為に、塗装を施すという訳です。

NHKの番組で「鉄はなぜ錆びるの?」という疑問に対して、「鉄は錆びたがっているから」と答えていたのが印象的でした。鉄は自然界での鉄鉱石(酸化鉄)の姿戻ろうとしているそうです。

人工的に精製された鉄ですが、元の状態に戻ろうとする姿からは素材としての生命力のようなものを感じます。
鉄という変化する素材を楽しんで頂き、そも魅力を少しでも引き出せるよう毎日ものづくりをしています。

 

トップの画像はウレタンクリア塗装をして2年間雨ざらしで、直射日光にさらされた工房の看板です。うっすら錆が浮いているのが分かるでしょうか?メンテナンス無しでこの程度の変化が起きますので、参考にして頂ければと思います。
2019/08/27 11:06

鉄の魅力

 

サニーサイドスタジオでは主に鉄でモノづくりをしています。

鍛冶屋だった祖父の影響もありますが、僕はこの鉄という素材が大好きです。

鉄の魅力というのは「硬くて丈夫」ということ。

硬く重たい鉄を火花を散らしてバリバリ切ったり、力いっぱい曲げたり、溶接で溶かしたり。

とても手間や、時に力も要る仕事です。

時に鉄という素材に自分が試されている。そんな気分にさせてくれます。


それに一度組み上げてしまえばよほどのことがない限り壊れないし、木よりも細くシャープなデザインにすることができるので、そこに素材としての魅力を感じます。

 

そしてもう一つの魅力が「錆びる」という点です。

丈夫な鉄ですが水や湿気には弱く、放っておくと錆が発生します。

鉄は自然界では酸素と結合した酸化鉄(鉄鉱石)の状態で存在していて、これを人間が無理やり精製して鉄だけを取り出しています。

鉄が空気中の酸素と結合して錆びてしまうのは、この自然界での状態に戻ろうとする作用だそうです。

丈夫な反面、素材としてはある意味不完全だとも言えますが、この不完全さが鉄の魅力につながっていると思います。

経年変化を悪と捉えるのではなく、「育てる楽しみ」と捉えると鉄という素材により魅力を感じてもらえると思います。

履き込んだジーンズや、使い込んだ革小物のように自分だけの品に変化していく様を楽しんで頂きたいです。


重厚感とシャープなデザイン性。そして経年変化。鉄はたくさんの魅力のある素材です。

今後も鉄の素材感を愉しめる、美しい製品を作っていきたいと思います。

2019/07/10 16:43

看板に名前を付けてみた。

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  window frame(窓枠)

※アンティークの窓枠や格子をイメージして作りました。

 

 

 

今後は看板一つ一つに名前を付けてみようと思います。

 

 

今まではお問い合わせの際に、写真をスクショしたものを添付して頂いたり、SNSの投稿日時を伺っていましたが、

名前があることでお問い合わせの際、意思疎通をしやすくする、というのが狙いです。

 

 

ただ便宜上だけではなく、もう一つ大きな理由があります。

 

 

看板を製作する際には要望や、お店のコンセプトを伺います。

 

色々なお話をする中でモチーフを決めデザインをおこしていくのですが、そのモチーフを名前に入れることで、第三者にもイメージや世界観を感じやすくなると思います。

 

作り手としては、看板を引き渡す際には「しっかり役に立ってこいよ」という気持ちで送り出しています。

お店を彩る大切な看板なのでお客様はもちろん、僕自身思い入れもあります。

 

だからこそ、その一つ一つに名前を付けてあげたら素敵かなあと思った、という次第です。

 

 

実はサニーサイドスタジオ内では呼び方があったのですが、それを公表してみたという感じ。

打ち合わせした当人にしかわからないネーミングもあるかと思いますが、それはそれで面白いかなと思います。

 

ネーミングの裏側を色々想像して貰えると楽しいかも。

気になる方はお問い合わせ下さいね!

 

 

 

2019/07/03 12:30

アイアン看板で人の足を止めたい。

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街中にはたくさんの看板や標識、言葉があって、競い合うように派手で大きく、自己主張をしています。

人に伝える為のものなので、それはそれで仕方の無いことなのかもしれませんが、道を歩いていても必ず目に飛び込んできて、意識に働きかけてきます。

 

疲れている時や精神的に落ち込んでいる時には、街中の情報の多さに圧倒されてしまう事もあって意識への暴力がすごいと感じます。

見たくも無い物を見せられたり、知りたくもない情報を無理やり目の前に突きつけられるのはツライものです。

 

●美しい物があれば人は足を止めるものだと思う。

 

逆に、物でも風景でもつい足を止めて見入ってしまうことがあります。

 

雲の切れ間に沈む夕日、雨に濡れた紫陽花。綺麗な色の絵画。上質な革製の鞄。

僕は色んな物に足を止めてしまうので、怪しいと言われることもしばしばですが、人は無意識のうちに美しい物に惹かれるものかなと思います。

 

派手さや大きさは無理やりに感情をこじ開け飛び込んできますが、美しいものにはスッと心の中に入ってくるような切れ味があります。

 

 

●アイアン看板で人の足を止めたい。

 

最近、看板の依頼を頂く事が増えてきました。

アイアンで造る看板は派手さはありません。

人の目を惹くような大きな文字もありませんし、派手な色味もありません。

 

製作の際に心がけているのは、「造形として美しいかどうか」ということです。

先述のように、人は美しいと感じるものがあれば自然と足を止め、見入ってしまうものだと思います。

 

だから看板の大きさや派手さは必ずしも必要ではありません。

 

 

美しさで人の足を止め、情報を伝える。

 

 

人の感情にドカドカ入って行くのではなく、相手が自然にドアを開けてくれるというのが理想です。

 

 

●看板の役割

 

個人的に看板には2種類の役割があると考えています。

 

1つは存在を知ってもらう役割。

もう一つは入り口を美しく飾る役割です。

 

自身の存在を知ってもらうためには、街行く人に知って貰わないといけません。

 

でも看板は訪問者が最初に出会うお店の顔でもあります。看板一つでこれから訪問する場所の期待値が上がったり、ワクワクすることがあります。

 

だから美しく、存在感を放つ看板で人の足を止め、そして期待にワクワクさせたいと思っています。

 

そうすれば街の景観も壊さないし、お店の存在を知ってもらう事もできる。

それに街中に美しい物が増えれば、街や人がちょっと幸せになると思います。

 

 

街中を歩いているとそんな事をふと考えます。

理想ばかり先立ちますが、そんなものづくりをしたいと考えています。

2019/06/25 10:36

鉄のリアルな錆エイジングをしてみた。

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古びた雰囲気を出す為に、ペイントでサビを表現するエイジング塗装というものがあります。

手軽に質感を出せるのですが、どうせならペイントではなく、酸を塗って強制的にサビを出すリアルなエイジングをしてみました。

 

アイアン好きの方の中には「錆が好きです!」って人も多く、サビがアイアンの魅力だと考える人も多いです。

僕も個人的に錆は好きなので、この魅力を自由に表現できるようになりたいと思っています。

 

 

酸を塗って表面に強制的に錆を発生させ、良いタイミングで錆を止める。

そうすると表面処理として錆を利用する事ができます。

ペイントには無い、深い色合いや雰囲気が出せるので、とても好きなのですが色味のコントロールが難しかったり、再現性に乏しいので、製品として使えるかは微妙なところです。

金属工芸の世界では見る技法ですが、アイアン家具ではあまり使われません。

この技法を1点物の看板などで、意匠として利用出来ないかと思い、色々実験しています。